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2010年4月18日 (日)

子猫のファンタジー

 子猫時代のガチャ子さんが苦手だったものが二つあります。一つは家電のプラグ、もう一つはぬいぐるみを模したふかふかのスリッパでした。

 家電のプラグ、特に掃除機のプラグは、ガチャ子さんにとってまさに放置してはおけない敵だったようでした。掃除の途中、掃除機のプラグをコンセントから抜いておくと、遠くの方から体を斜めにしてぴょいぴょいとはねながら近寄ってきて、身を低くしてプラグの様子をうかがいます。そして、刺身をたたいたときのように、前足でパシパシッとたたき、反応を見ます。プラグが動くわけないのですけれどね。

 子どものくせに一丁前にうなり声を上げて攻撃する様がおかしくて、ある日ちょっと意地悪をしました。警戒心をむき出しにしているガチャ子さんの目の前で、掃除機のコードをひょいっと持ち上げて、プラグが床から持ち上がるようにしてみたのです。ガチャ子さんはその途端、一瞬後ろ足だけで立ち上がり、しっぽをボワッとふくらませて一目散に逃げていきました。 

 プラグの先には二本のさしこみ金具がついていますが、それが動物の牙のように見えたのではないかと思います。

 それで二度と掃除機のプラグには近づかなかったかというと、そうはならないのが懲りない子猫ガチャ子さん。その後も何度何度も、果敢にプラグに立ち向かっていったのでした。

 一方、ぬいぐるみを模したふかふかスリッパを怖がったのは、飼い主も意外でした。おもしろがって抱きついたりかみついたりするのではないかと思っていたからです。
 けれども戦いを挑むどころかひたすら逃げ回っていました。そのスリッパは毛足が長くふかふかしており、一見したところではガチャ子さんよりもボリュームがあったので、よほど怖かったのでしょう。大きな動物のように見えたのかもしれません。

 ところが、しばらく経つとスリッパは自分に危害を加えないことがわかったようで、さして怖がらなくなりました。プラグの方も、そのうちに興味を示さなくなっていました。大人になるにつれて、自分のイメージが作り出した「敵」から自由になっていったのだと思います。

 子どもの想像力が豊かなのは、人も猫も同じですね。

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