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2010年9月26日 (日)

五歩だけの暴走族

 ネコと一緒に暮らしている人なら一度ならず経験していることだと思いますが、ネコは、唐突にものすごい勢いで走り出すことがあります。「運動会」「暴走族」などいろいろに表現されているその行動の理由が何なのかは、よくわかっていないようです。夜中に始まることもしばしばで、飼い主の眠りを妨げる困った年中行事でもあります。

 ガチャ子さんも元気な頃はよくやっていました。突然「ウグルグル」と妙なのど声を上げて突然家の中を走り回ります。床の上を走るだけではなく、棚の上に乗ったかと思うとすぐに飛び降り、カーテンをよじ登ってまた降りて、階段を駆け下りて駆け上って……。ひとしきり暴れ回った後はこれまた唐突に止まり、身体をなめて興奮を静め、何事もなかったかのような表情でクッションの上に箱座りして、おしまい。

 老猫ガチャ子さんが最後に暴走族になったのはもう何年も前のことでした。が―。

 先日の夜、突然「ウグルグル」という鳴き声を上げました。珍しいこともあるものだと目を上げると、尾の根本だけを少し持ち上げ、四肢を踏ん張って目をランランと輝かせたガチャ子さんがそこに立っていました。
 そして、タタタタタッと五歩、早足で歩いたのです。

 たった五歩、一瞬のことでしたが、あれは確かに「暴走族」でした。

 年老いたガチャ子さんの中にも、猫の習性はまだ息づいていたようです。

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