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2015年10月29日 (木)

今日はアンズの月命日です。

 今日はアンズの月命日。

 これまでそうしてきたように、朝には出勤して、夜には帰宅して。週末は部屋を片付けたり、近所に買い物に行ったり、猫と遊んだり。

 リンリンが居て、私が居て、以前と同じような時間が流れているのに、家の中が無闇に広く感じられてなりません。

 私たちは今まで通りに暮らしているのに、どうしてアンズが居ないのか。まだ納得できない、飲み込めていない私が居ます。

 それでも、少しずつでも前に進まなければならない。そう思わされる出来事がありました。

 アンズが旅立って十日ほど経った頃のことです。私の体調にちょっとした異変が見られました。
 年齢的に放置しない方がいいだろうと思い、翌日、かかりつけのクリニックに行ったところ、ガン検診を勧められました。予想していたことではありました。

 結果が出るのは一週間後。なるべく早く結果を聞きに来て再度診察を受けるようにと先生から念押しをされました。いつもはそういうことは言わない先生なのですが。

 一週間、相当な不安と向き合うことになりましたが、幸いなことに検査結果は、シロでした。病変は無し。先生の前で思わず「よかった~」と言ってしまいました。

 私はかなりせっかちです。結果が出るまでの一週間、もしもの場合に備えて急ぎの仕事を進めたり、入院に必要なもののリストアトップをしたりしていました。その中で一番考えたのは、リンリンのことです。
 私が入院したら、一人でお留守番をしてもらわなければならなくなります。退院後もしばらくは通院治療が必要になるかもしれない。日常生活が思うに任せない場合でも、彼の負担を最小限にするにはどうしたらよいか。などなど。

 身内や友人から遠く離れた町での猫暮らし。非常時の支えをどう確保するか、はじめてリアルに考えました。

 実は、私に万一のことが起こった場合の猫たちのその後については、今回の猫暮らしをはじめた当座に準備済みでした。けれども、長期入院・加療となると話が少し違ってきます。
 人生何が起こるかわからない。ケースバイケースでとらなければならない対応も様々になってくることを改めて突きつけられた思いでした。

 今回、冷や汗をかくことになりましたが、冷や汗で済んだのですから本当に幸いでした。
アンズを見送ったばかりの、喪失の悲しみのただ中に起きたさざ波。このタイミングには、いろいろと考えさせられました。もしかして……。

 

 以下、妄想小話です。

 

 夜空に、半分よりもさらに小さくなった月が輝いている。すでに風は肌寒い。今年の秋はずいぶんと気が早いなんて思いながら、ワタシは空を駈けた。

 住み慣れた「わが家」のベランダが近づいてくる。へえ。夜に外から見るとこんな風に見えるんだな、「ウチ」は。

 ガラス戸をするりと抜けて、リビングに降り立った。かわいい息子は座布団の上でグウグウ眠っていてワタシには気づかない。全く猫の癖して。まあ、らしくていいけどね。

 ワタシの写真(ん♪かわいく撮れているじゃないの。これを選ぶとは、藻塩もなかなか気が利くこと。)の飾られた台を横目に、廊下を通り過ぎて玄関脇の小部屋に入る。

 ベッドの上で眠っているのは、藻塩。丸めた毛布にしがみついて、なんだかね。寝姿もやっぱり優雅さに欠けるんだわ、このヒトは。

 ベッドの上に乗り、ふんふんとにおいをかぎながらあらためて藻塩を眺めた。疲れた顔をしている。

 無理もないよね。今年のはじめからずっと、仕事やらプライベートやらでいろいろあって、かけずり回ったり、怒ったり、頭を抱えたりしていたから。そこにワタシの旅立ち……。ダメージ大きいよねえ。

 でもねえ、だからといって自己メンテナンスを放り出すのはダメだわよ。いい加減トシなんだから、そのあたりも考えてもらわなくちゃね。藻塩に何かあったら、困るのはワタシのかわいい息子なんだから。

 ワタシは、藻塩のおなかのあたりをぽんぽんとたたいた。
 うん、このあたりがいいかな。
 きゅっ。
 軽く押してみた。
 「ううん……」
  小さくうめいた藻塩は、眉間にしわを寄せながら寝返りを打った。

 これでよし。
 「異変」に気がつくかどうか。気がついてどうするか。そしてそのあとどう暮らしていくかは藻塩が決めること。
 ワタシにできるのはここまで。

 藻塩、ワタシを見ることができなくなったアンタがめそめそうだうだするのは当然だけど、そればっかりに囚われているのなら、リンリンと暮らす資格はないわね。
 そこんとこ、よく考えて。リンリンのこと、アンタに託した私の気持ちも酌んでよね。

 まったく、どうしてニンゲンって、こう手がかかるんだろう。

 もう一度藻塩の顔をながめてから、ワタシは寝室のガラス窓から外へと飛び出した。
 手足を思いっきり伸ばして、空を切る。ああ、気持ちいい。ずっとこうしたかった。
 ちょっと夜の町を見学していくかな。
 月の光を浴びながら、ワタシは高く高く跳び上がった。

 

 「ママ」
 そのとき、リンリンがうっすらと目を開けていたことを、アンズは知らなかった。
 「今度はボクが眠くないときに遊びに来てね。」

 

 生きていると、イヤなことも、大変なことも、いいこともいろいろあります。
 それを受け止めるには、毎日をきちんと生きることが大事。そんなメッセージを私はアンズから受け取ったと感じています。

 アンズは旅立つ前も、旅だった後も、私に様々なギフトをくれます。

 ありがとね。アンズ。

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 「猫は何でもお見通し♪」

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